グラクソ・スミスクライン株式会社

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特集 二宮清純のゼンソク人間学

シリーズ2 vol.10 後半 吸入薬の正しい使用を

コントロールは不十分

: 今の状態を確認するために喘息コントロールテストを実施してみましょう。

秋本: 「この4週間に、喘息のせいで職場や家庭で思うように仕事がはかどらなかったことは時間的にどの程度ありましたか?」。これはかなりありましたね。

二宮: 「この4週間に、喘息の症状のせいで夜中に目が覚めたり、いつもより朝早く目が覚めてしまうことがどのくらいありましたか?」という質問項目もあります。

秋本: これも結構ありますね。1週間に4回ほどです。「この4週間に、発作止めの吸入薬をどのくらい使いましたか?」。1週間に何回か使っていますね。

二宮: 最後の質問です。「この4週間に、自分自身の喘息をどの程度コントロールできたと思いますか?」

秋本: できなかったですね……。点数は合計すると……9点。

: 目標は満点の25点ですから、かなりよろしくないですね。20点以下は症状が悪化するリスクがかなり高い状態と言えます。9点だと大きな発作が起きる可能性が非常に高く、注意しないといけないレベルです。

二宮: 予想以上にコントロールが不十分なことが判明してしまいましたね……。でも、この状態を改善すれば、パフォーマンスも上がってくるのではないでしょうか。

: もちろんです。自分自身は症状が軽いととらえていても、本当は良くなっているわけではありません。むしろ悪い状態に慣れてしまっている面も大きいのではないでしょうか。このコントロールテストで満点になるよう治療していけば、随分、変わってくると思います。
ピークフローメーターは使ったことがありますか? 気管支の状態も調べてみましょう。

秋本: これを思いっきり吹けばいいんですね。フーーーーッ。

: 数値を見ると、やはり標準値よりも低いですね。アスリートであることを考慮すれば、本来は標準値より上の数字が出てもおかしくない。継続治療をして症状をコントロールすることで、この数値も改善するはずです。このように主観ではなく、喘息コントロールテストやピークフローメーターを活用して客観的に状態を把握し、治療につなげていくことが求められます。

リスク排除と継続治療を

二宮: これから秋本さんは、どのように治療に取り組んでいけばいいのでしょうか。

: 大きく分けて2つあります。ひとつは今の症状をコントロールしてベストな状態に持っていくこと。もうひとつは発作が起きるリスクを減らすことです。いくら症状がコントロールできても、風邪を引いたり、何かの要因でアレルギー反応が出てしまうといけません。逆に、いくらリスクを排除しても、日頃のコントロール状態が悪ければ発症しやすくなる。この2点を並行して進めていきましょう。

秋本: 自分の状態がいかに悪くて、治療がきちんとできていないかがよくわかりました……。

: ちなみに風邪は引きやすいほうですか。

秋本: そうかもしれません。この前も風邪を引いて、調子が良くなかったんです。

: 喘息を発症していると、普通なら軽い風邪で済むところが発作を誘発して悪化させてしまうことが多いんです。まず、うがい、手洗いは念入りにして、マスクを着用するなど予防に努めましょう。喘息の症状がコントロールできるようになると、仮に風邪になっても軽い段階でとどめることが可能になります。

二宮: 風邪を引きやすいということ自体、気管支の状態が良くないとも言えるのでしょうか。

: はい。ですから症状が安定してくれば、風邪を引きにくくなったと感じるかもしれませんね。もうひとつ、吸入薬をきちんと吸えているかも気がかりです。間違った吸い方をしていると、薬がきちんと気管に入っていきません。
実際、患者さんの中でも正しい吸入方法を知らずに使っている方は少なくありません。専門医の下、一度、吸入方法を指導してもらうといいでしょう。また、製薬企業の患者さん向けウェブサイトなどでも正しい方法が紹介されています。テスト形式で吸入のやり方をチェックできるサイトもあるので、改めて確認してみてください。

秋本: わかりました。ひとつ質問ですが、吸入器のカウンターが「0」になっても、まだ白い粉は出てきます。薬が残っている気がするのですが、新しいものと取り替えなくてはいけないのでしょうか。

: 吸入器では目に見えないくらいの細かい粉末になった薬を吸っています。目に見える粉末では口の中でとどまってしまって気管まで届かない。粉が残っているように見えても、新しいものを使ってください。

二宮: これだけ改善の余地があって、既に世界で結果を残しているのですから、改善後の活躍がむしろ楽しみですね。

: ぜひ正しい吸入方法で治療を持続し、ベストコンディションで、これからは試合に臨んでほしいですね。症状を我慢せず、専門医の方ともよく相談して治療に取り組んでください。

秋本: ありがとうございます。来年のリオデジャネイロ五輪は自分にとってラストチャンス。まだ伸びしろがあると知って力が湧いてきました。頑張ります!

権先生からのアドバイス

症状が出ない予防を
喘息の症状を誘発する原因はいろいろあります。花粉症対策や風邪予防、こまめな掃除など症状が出にくくなる取り組みを継続して行うことが重要です。
客観的に判断する
主観で症状の良し悪しを見極めるのではなく、喘息コントロールテストやピークフローメーターなどを活用して、客観的に状態を把握しましょう。専門医の定期的な診断を仰ぐことも大切です。
吸入器の使い方を確認
吸入薬の吸い方を誤っていると、効果が薄れてしまいます。正しい使い方ができているか、製薬企業の患者さん向けウェブサイトなどの動画やチェックテストなどを活用して確認しましょう。不安な点があれば、専門医や調剤薬局に相談すると安心です。

秋本 啓之さん 柔道家
熊本県出身。父も兄も柔道家という一家に生まれ、5歳で柔道を始める。桐蔭学園高時代は無差別級の全国高校選手権で66キロ級ながら、重量級の選手を次々と破り、優勝。筑波大進学後は世界ジュニアを制して父子2代でチャンピオンに。2009年秋からは階級を73キロ級に上げ、10年の世界選手権を制覇。また嘉納治五郎杯(グランドスラム東京)も父子2代での優勝を果たす。14年は喘息の症状を乗り越えてアジア大会を連覇。グランドスラム東京も制した。3度目の挑戦で悲願の五輪出場を狙う。

日本大学医学部内科学系呼吸器内科学分野 准教授
権 寧博先生
東京都出身。日本大学医学部卒業。日本大学医学部第1内科入局。京都大学医学部ウイルス研究所生体応答学部門研究員。日本大学医学部分子細胞免疫・アレルギー学分野助教授。同、総合内科学分野准教授を経て、現在、呼吸内科学分野准教授。日本大学医学部附属板橋病院睡眠センターセンター長を兼務している。専門診療分野は、呼吸器内科、睡眠呼吸障害。研究テーマは、気道炎症の病態生理、アレルギーのメカニズムなど。

二宮 清純
愛媛県出身。幼い頃から喘息に悩まされる。スポーツジャーナリストとして五輪、サッカーW杯、メジャーリーグ、ボクシング世界戦など国内外で幅広い取材活動を展開中。著書に『スポーツ名勝負物語』、『最強のプロ野球論』、『プロ野球の一流たち』、『天才たちのプロ野球』(以上、講談社)、『勝者の組織改革』、『勝者の思考法』(以上、PHP新書)、『プロ野球の職人たち』(光文社新書)、『プロ野球「衝撃の昭和史」』(文春新書)、『プロ野球 名人たちの証言』(講談社現代新書)、『プロ野球の名脇役』(光文社新書)など。最新刊は『最強の広島カープ論』(廣済堂新書)。

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