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特集 二宮清純のゼンソク人間学

シリーズ2 vol.14 後半 ピッチングも、症状もコントロールする

満点でも油断は大敵

二宮: 毎回、ゲストの方に今の喘息の状態を確認するために喘息コントロールテストを実施しています。25点満点のテストです。

久保田: 「喘息をコントロールできたと思いますか?」という質問は、症状が出ていなければコントロールできていたと考えていいんですか?

小賀: ええ。結果は……25点。

二宮: 久しぶりの満点ですよ! ちょっと自分に甘いんちゃいますか(笑)。

久保田: いや……多分、大丈夫です(笑)。

二宮: 久保田さんは小児喘息で、現役時代は喘息の症状が時々出ていたそうですが、今は出ていないということです。このような場合は、もう喘息の治療をしなくていいんでしょうか?

小賀: これはあくまでも症状で判断するテストです。喘息の状態を知るためには、肺の力や気道の炎症を測るような呼吸器の検査もした方がいいと思います。

二宮: それでは次はピークフローメーターで、気管支の状態を調べてみましょう。

小賀: フーと、思いっきり吹いて下さい。

久保田: 強くですね。フーーーーッ。

小賀: 640ですね。身長180センチで34歳*の男性の場合、平均値は650。なので、数字的には平均値ですね。(*取材時)

打撃投手の苦労

二宮: 今はバッティングピッチャーをやっていらっしゃいます。裏方に回っても、やはりコンディションは大事になってきますよね。今度はバッティングピッチャーだと打たせないといけない仕事。前は打たれちゃ困る仕事だったんですが、考え方の切り替えも難しかったんじゃないでしょうか?

久保田: 2015年の1年間やってみて、バッティングピッチャーの大変さが身に染みてわかりました。打たせようと思えば思うほど、ストライクが入らなくなる。それまでは自分の思い通りに投げていましたが、今度は相手に打たせなくちゃいけない。通常より距離が短いので、力の加減も難しい。ストライクが入らないので、すごく苦労をしていますね。

二宮: バッターに気持ちよく打たれないといけないわけですもんね。

久保田: ええ。打たれないといけないので、ストライクが入らないと練習にもならない(笑)。本当にそこが大変ですね。

二宮: 現役時代は剛球派のイメージがありましたが、コントロールには?

久保田: 自信はある方やったんですが、同じ投げるにしても、感覚が全然違う。まだバッターの要求に答えられるレベルじゃない(笑)。ストライクを投げるのに必死ですね。

二宮: バッティングピッチャーも経験が必要なんでしょうね。

久保田: とても大事やと思います。先輩のバッティングピッチャーの方を見ているとすごいなと思います。

日常生活が大事

二宮: 久保田さんは特に一番大事な時にマウンドを任される。試合が盛り上がっている時に出ていく役回りでした。

久保田: そうですね。まぁプレッシャーなんですけどね。

二宮: プレッシャーを軽減するために何か自分なりのルーティーンとかありました?

久保田: いや、なかったですね。軽減できないです。“もうやるしかない”という気持ちだけでいくしかないですね。もうきつかったです。

二宮: 今年はバッティングピッチャーとして2年目。コンディションを整えて、頑張っていただきたいと思うんですが、先生からは何かアドバイスはありますか?

小賀: 症状が出てから治療するところが気になりますね。できるならば症状が出ない状態を意識して目指されるほうがいいかもしれませんね。どうしても喘息は完治したといいにくい病気で、症状がしばらく出ていなくても、また何年か経ったら、何かの誘因で出たりしますので。普段からしっかり薬を使っていただければ、日常生活でもコントロールができると思います。そのあたりに気を付けつつ、生活習慣を意識していただくしかないですね。

二宮: 割とぶり返す人もいますよね。治ったと思ったら、年を取ってからもう1回出るとか……。

小賀: そうですね。例えば小児喘息があって、ちょっと治まっていて、大人になってから再燃するのは非常によくあるパターンです。

二宮: それを考えたら、久保田さんも今日は25点でしたが、安心しないで、治療をやっておいた方が将来的にもいいということなのでしょうか。

小賀: 症状は落ち着いていても、気道に炎症が残っていると、だんだん年と共にひどくなる場合があります。少し気道が硬くなって、狭くなり、戻りにくくなってきますので。他の検査法などもトライして、自分の気道の炎症の程度を見るのもひとつの手かなというふうに思いますね。

小賀先生からのアドバイス

室内環境をコントロールしましょう
タバコや埃など家の中の空気の環境は非常に大事な要素です。空気によって喘息が誘発しやすくなる場合もあります。普段の生活からできるだけ発作が起こらないような環境を作ることが大事です。
チェックは入念にしましょう
症状が良くなっていても、気道に炎症が残っている場合もあります。いろいろな検査方法を試し、炎症の程度を調べる必要があります。

久保田 智之さん 元プロ野球選手(阪神タイガース)
1981年1月30日、埼玉県出身。滑川高-常盤大-阪神タイガース。2002年に阪神にドラフト5位で入団。1年目から5勝をマーク。04年にチーム事情で先発からリリーフに転向する。05年から「JFK」(ジェフ・ウィリアムス、藤川球児、久保田智之)と呼ばれるリリーフトリオを形成。同年、リーグ優勝の胴上げ投手となった。07年にNPB史上最多となる90試合に登板し、NPB記録のシーズン46ホールド、日本新記録の55ホールドポイントを記録。08年に69試合に登板して37ホールドポイントを挙げる。最優秀中継ぎ投手を2度受賞(07、08年)した。14年に現役を引退し、現在は阪神の打撃投手を務める。

小賀 徹先生
兵庫県出身。京都大学大学院医学研究科 呼吸管理睡眠制御学講座 准教授。1995年京都大学医学部卒業後、京都大学胸部疾患研究所附属病院、田附興風会北野病院、京都桂病院呼吸器センター、京都大学医学部附属病院などの勤務を経て、2011年より現職。専門は、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、喘息、睡眠呼吸障害、など。

二宮 清純
愛媛県出身。幼い頃から喘息に悩まされる。スポーツジャーナリストとして五輪、サッカーW杯、メジャーリーグ、ボクシング世界戦など国内外で幅広い取材活動を展開中。著書に『スポーツ名勝負物語』、『最強のプロ野球論』、『プロ野球の一流たち』、『天才たちのプロ野球』(以上、講談社)、『勝者の組織改革』、『勝者の思考法』(以上、PHP新書)、『プロ野球の職人たち』(光文社新書)、『プロ野球「衝撃の昭和史」』(文春新書)、『プロ野球 名人たちの証言』(講談社現代新書)、『プロ野球の名脇役』(光文社新書)など。

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