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喘息を克服したアスリートたち

二宮清純のゼンソク人間学

シリーズ2Vol.14

前半

喘息とも戦った鉄腕

元プロ野球選手 久保田 智之さん /
京都大学大学院医学研究科 呼吸管理睡眠制御学講座 准教授 小賀 徹先生

主役から裏方へ

元プロ野球選手 久保田 智之さん

久保田智之といえば、ジェフ・ウィリアムス、藤川球児と組んだ勝利の方程式「JFK」の一員として知られる。中継ぎ、抑えとリリーバーとして大車輪の活躍を見せた。2005年にはリーグ優勝の胴上げ投手となり、07年にはNPB史上最多となる90試合登板を果たした。07年から2年連続で最優秀中継ぎ投手に輝いた鉄腕は、そのタフネスぶりでチームに多大な貢献をした。14年限りで現役を退いたが、現在は打撃投手としてチームを支える。スポットライトを浴びる主役から、裏方へと舞台を変えても、マウンドに立ち続けている。

二宮清純

季節の変わり目に注意!?

二宮: 久保田さんはいつ頃から喘息を発症されたんですか?

久保田: たぶん、幼稚園生くらいだったと思います。ゼーゼーヒーヒーという感じでした。

小賀: 小児喘息によくある症状ですね。

二宮: 当時はどういった治療を行っていましたか?

久保田: 飲み薬を服用していました。あとは、昔の大きな吸入器も使っていましたね。

小賀: ネブライザーですね。蒸気のものでしょうか?

久保田: そうです。あれを少しやっていました。

二宮: ネブライザーにはどういう効果が?

小賀: 実際に薬を入れているか入れていないかにもよりますが、加湿をするということと、痰を出しやすくするんです。

二宮: そうですか。久保田さんが野球を始めたのは何歳頃からですか?

久保田: 9歳ぐらいですね。試合の前日の夜に発作が起きて、翌日の試合に出場できなかったこともありました。いつ発作が起こるかわからないので試合前に発作が出た時は大変でした。

二宮: 喘息の原因として考えられることは?

久保田: 僕が調べた時は、ブタクサや猫アレルギーとかが要因でした。あとは季節の変わり目は喘息の症状が出やすかったです。寒くなる時だけじゃなく、冬から暖かくなった時とか、気温が一気に変わった時とかは出やすかったですね。

小賀: 季節の変わり目に症状が出るのは、非常に典型的ですね。

二宮: プロ入り後、喘息はほぼ完治していましたか?

久保田: いや、時々出ていました。特に季節の変わり目はやはり症状が出ていましたね。

二宮: プロの場合には、休めないじゃないですか。久保田さんの場合はリリーフだから、登板しなくてもほぼ毎試合に帯同するわけですよね。しかも2007年には90試合も投げています。この時は症状が全く出なかったんですか?

久保田: その時はほとんど出ていなかったですね。

二宮: リリーフをずっとやられていて、日々の体調管理というのも気を遣われていたと思います。特に意識していたことはありますか?

久保田: なるべく風邪はひかないようには気を付けていましたね。風邪から発作が起きるということもあったので。練習後もすぐに着替えますね。汗をかいて、そのままだと体が冷えますからね。

室内環境が大事

二宮: ご家族の中に喫煙者は?

久保田: 父が吸っていましたね。

小賀: 家の中の空気の環境は非常に大事な要素です。何が要因となっているのか、ハッキリと突き止めるのはやはり難しい。ただ家の中でタバコの煙とかあると、子供の喘息も誘発しやすいのはあると思いますね。

二宮: 家の中で喘息の発作が起きないようにするためには、ダニとか埃も注意しなければいけませんよね。

久保田: あとは乾燥も結構気を遣いましたね。やはり乾燥していると発作が出やすい。加湿器は重要ですね。

二宮: それはホテルとか遠征先でも?

久保田: はい。最近はホテルでも置いてあるじゃないですか。その場合は必ず加湿器はつけていますね。

二宮: それはやはり重要なことですよね?

小賀: そうですね。普段の生活からできるだけ発作が起こらないような環境を作ることが大事かと思います。

喘息は普段から治療することが大切

二宮: 現在、お使いになっている薬は?

久保田: 今は特に使っていないんです。家に吸入器は一応あります。発作止めですね。発作が出た時には1回吸えば、症状は落ち着きます。

小賀: そうですか。最近では喘息症状を出さない治療として、吸入ステロイド薬と気管支拡張薬の配合剤もあります。

久保田: それはいいですね。喘息の症状って出るのを抑えることができるんですね。

小賀: はい。

二宮: 症状が出る時は、予兆みたいなものはあるんでしょうか?

久保田: あります。ひどい症状はあまり出ないので、少し息苦しいなと感じた時に、大体喘息の発作が始まりますね。

二宮: それはランニングしている時も?

久保田: 練習している時でも息苦しくなることはあります。普通に呼吸していても、苦しくなる。それを放っておくと、ずっと苦しさが増してくるので、その時に吸入器で気管支を広げて呼吸を楽にすると、そこからは治まるんですけどね。

二宮: 発作が起きてから発作止めなどをシュッとやるよりは、症状が出る前に対処していた方がいいのでしょうか?

小賀: そうですね。喘息は都度治療を行うより、症状が出ないように普段から治療していくことが大切です。

久保田 智之さん
元プロ野球選手(阪神タイガース)
1981年1月30日、埼玉県出身。滑川高-常盤大-阪神タイガース。2002年に阪神にドラフト5位で入団。1年目から5勝をマーク。04年にチーム事情で先発からリリーフに転向する。05年から「JFK」(ジェフ・ウィリアムス、藤川球児、久保田智之)と呼ばれるリリーフトリオを形成。同年、リーグ優勝の胴上げ投手となった。07年にNPB史上最多となる90試合に登板し、NPB記録のシーズン46ホールド、日本新記録の55ホールドポイントを記録。08年に69試合に登板して37ホールドポイントを挙げる。最優秀中継ぎ投手を2度受賞(07、08年)した。14年に現役を引退し、現在は阪神の打撃投手を務める。

小賀 徹先生
兵庫県出身。京都大学大学院医学研究科 呼吸管理睡眠制御学講座 准教授。
1995年京都大学医学部卒業後、京都大学胸部疾患研究所附属病院、田附興風会北野病院、京都桂病院呼吸器センター、京都大学医学部附属病院などの勤務を経て、2011年より現職。専門は、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、喘息、睡眠呼吸障害、など。

二宮 清純
愛媛県出身。幼い頃から喘息に悩まされる。スポーツジャーナリストとして五輪、サッカーW杯、メジャーリーグ、ボクシング世界戦など国内外で幅広い取材活動を展開中。著書に『スポーツ名勝負物語』、『最強のプロ野球論』、『プロ野球の一流たち』、『天才たちのプロ野球』(以上、講談社)、『勝者の組織改革』、『勝者の思考法』(以上、PHP新書)、『プロ野球の職人たち』(光文社新書)、『プロ野球「衝撃の昭和史」』(文春新書)、『プロ野球 名人たちの証言』(講談社現代新書)、『プロ野球の名脇役』(光文社新書)など。
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