喘息(ぜんそく)の患者さんやご家族を対象に、疾患に関わる情報を発信しています。

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喘息(ぜんそく)を
上手にコントロールするために

喘息の治療目標は、まず喘息症状をなくすことです。喘息症状があり、増悪(発作)治療薬が必要な状態は、コントロールされていない状態です。

喘息(ぜんそく)を上手にコントロールするために

編集協力:一般社団法人 日本喘息学会理事長 近畿大学病院病院長 東田 有智先生

喘息が出ているってどんな状態ですか?

治療を続けていても咳が出て苦しかったり、
夜、目が覚めてしまう場合は、きちんと
コントロールできているとはいえません。

喘息患者さんは、長く喘息症状がある状態や喘息症状があってもがまんしているため、この程度の症状なら大丈夫などと、ご自分の喘息のコントロール状態を過大評価し、「自分は喘息をコントロールできている」と思ってしまう可能性があります。

「自分は喘息をコントロールできている」と思い込んでいる人が多いけれど・・・

医師が診察すると、
実際にはかなり症状を持っていながら
喘息だから多少症状があるのは仕方がないと
思っている患者さんを目にすることがあります。

喘息のコントロール状態

このように、半分あきらめてしまっていることはありませんか?

「私は薬で治療していて、
喘息がきちんとコントロールできています。
たまに、咳が出て苦しかったり、
夜、目が覚めたりと喘息を感じることがありますが、
まぁ、そのくらいは仕方がないです。喘息なので・・・」

喘息のコントロール状態
喘息のコントロール状態

喘息の管理目標の達成には、気道炎症の原因となる危険因子 (ウイルス感染、ダニ、カビ、たばこの煙、大気汚染など)を回避・除去し、適切に薬物を使用することにより、気道の炎症を抑制して、気道を十分に拡げること(可能な限り正常に近い呼吸機能)が大切です。
これにより、健康な人と同じように生活を送ることができるようになることを目指します。
喘息症状があり、増悪(発作)治療薬が必要な状態は、喘息がコントロールされていない状態です。

[喘息予防・管理ガイドライン2021,p.2]

患者さんが考える自身の喘息のコントロール状態と
喘息コントロールテスト(ACT)で評価した実際のコントロール状態には、違いがみられます

喘息患者さん693名を対象に喘息コントロールテスト(ACT)を用いて喘息コントロールの状態を判断した調査では、喘息コントロール不良(ACTスコア19点以下)の患者さんの71.6%が自身の喘息を 「まあまあ・十分・完全にコントロールできた」と考えていることがわかりました。

喘息コントロール状態

喘息コントロールテスト(ACT)で確認した喘息コントロールの状態別にみた
喘息コントロール状態に関する患者の自己評価

喘息症状を起こす誘因

ACTスコア19点以下を「コントロール不良」、ACTスコア20点以上を「コントロール良好」と定義
ACTの質問5:この4週間に、自分自身の喘息をどの程度コントロールできたと思いますか?

調査手法:
Lightspeed Research社が有するパネルを用いてKantar Health社が世界各国で毎年実施している大規模インターネット調査
調査対象:
18歳以上の成人パネル30,000名から喘息(自己申告)を有する患者693名
調査期間:
2013年11~12月
[Iwanaga T et al : Therapeutic Research 2015 ; 36(3), 235-246 一部改変]
利益相反:本調査の費用はグラクソ・スミスクラインが負担した。
喘息コントロールテスト(ACT)

喘息コントロールテスト(ACT)を用いることで
喘息のコントロール状態を確認することができます。
自分の喘息の状態を客観的に知ることは、治療を受けるうえでとても大切です。
喘息のコントロール状態を主治医にも知ってもらうため、
ACTの結果は、必ず主治医にも見てもらいましょう。

喘息による日常生活への影響は?

喘息コントロール不良の患者さんの44.7%が、
喘息により日常生活に制約を感じています。

あなたの最近4週間を振り返って、このようなエピソードがみられれば、喘息のコントロールは十分とはいえません。

咳で夜十分眠れない
だから昼間に眠くなった

咳で夜十分眠れないだから昼間に眠くなった

咳がでるため
仕事に集中できない

咳がでるため仕事に集中できない

かぜをひくと
咳が止まりにくくなる

かぜをひくと咳が止まりにくくなる

季節の変わり目に
咳が止まらなくなる

季節の変わり目に咳が止まらなくなる

喘息患者さん693名を対象に喘息コントロールテスト(ACT)を用いて喘息コントロールの状態を判断した調査では、喘息コントロール不良の患者さんの44.7%が日常の活動に制約を感じていると回答しました。

過去6ヵ月間に喘息により経験したエピソード

過去6ヵ月間に喘息により経験したエピソード
調査手法:
Lightspeed Research社が有するパネルを用いてKantar Health社が世界各国で毎年実施している大規模インターネット調査
調査対象:
18歳以上の成人パネル30,000名から喘息(自己申告)を有する患者693名
調査期間:
2013年11~12月
[Iwanaga T et al : Therapeutic Research 2015 ; 36(3), 235-246より作図]
利益相反:本調査の費用はグラクソ・スミスクラインが負担した。

診察時に医師に何を伝えればよいですか?

喘息の症状の程度や頻度を、
医師に伝えましょう。

”喘息症状について、医師に詳細を伝えることは重要です。”

喘息症状について、医師に詳細を伝えることは重要です。

受診当日だけでなく、前回の受診時からの喘息症状の程度や頻度を伝えましょう。

  • どのような症状がみられたか
    〔喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)、咳、痰、胸苦しさ、息苦しさ、胸が痛いなど〕
  • いつ起きたのか(どのような場面で)
  • どのくらいの頻度で起きたのか
  • どれくらい続いたか
  • 夜は眠れたか
  • 日中、症状の程度が変わるか
  • 季節や気温で症状が変わるか
  • 香水や線香で症状がでるか
  • それによってどのように日常生活に支障があるか

その他に見逃しやすい喘息の症状

こんな症状があったらきちんと医師に伝えましょう。

  • ちょっとした刺激で咳き込む
    *刺激とは:ちょっと走る(運動)、階段や坂道を上がる、大声で笑う、ホコリやたばこのけむり、疲労やストレス
  • かぜをひきやすい
  • 夜、喘息で目が覚めてしまう
[喘息予防・管理ガイドライン2021, p.4]
[喘息診療実践ガイドライン2023,p.4]
その他に見逃しやすい喘息の症状

医師にうまく症状を伝えられない場合は、
次の項目で紹介する喘息コントロールテスト(ACT)を
チェックして結果を医師に見てもらいましょう。

自分の喘息の状態を知るためにACTを活用しましょう!

「喘息のない生活」への第一歩は、
自分の喘息の状態を知ることです。

喘息コントロールテスト(ACT)は、喘息でお悩みの12歳以上の方が自分自身の喘息の状態を点数で知るために役立ちます。各質問について、該当する回答を選択してください。質問は全部で5つあります。あなたが回答した点数を合計すると、あなたの喘息コントロールテストの総合点を出すことができます。テストの結果は、受診時に持参し必ず担当医師と一緒に見直してください。

あなたの喘息は何点?
喘息コントロールテスト(ACT)であなたの喘息状態を
確認してみましょう!

12歳以上対象

喘息ぜんそくコントロールテスト(ACT)

推薦:財団法人日本アレルギー協会

Step1
各質問について該当する回答を選択してください。できる限り率直にお答えください。喘息の現状について担当医師に相談する際、役立ちます。

質問1

この4週間に、喘息のせいで職場や家庭で思うように仕事がはかどらなかったことは時間的にどの程度ありましたか?

質問2

この4週間に、どのくらい息切れがしましたか?

質問3

この4週間に、喘息の症状(ゼイゼイする、咳、息切れ、胸が苦しい・痛い)のせいで夜中に目が覚めたり、いつもより朝早く目が覚めてしまうことがどのくらいありましたか?

質問4

この4週間に、発作止めの吸入薬(サルブタモールなど)をどのくらい使いましたか?

質問5

この4週間に、自分自身の喘息をどの程度コントロールできたと思いますか?

Step2
各項目の点数を足したあなたの総合点が出ます。

合計

Step3
総合点からあなたの喘息状態を、すぐ確認しましょう。

点数:25点(満点)

好調です。このまま続けましょう!

あなたの喘息は完全な状態(トータルコントロール)です。
全く症状がなく、喘息による日常生活への支障は全くありません。この調子で治療を続けましょう。もしこの状態に変化があるようならば、担当医師にご相談ください。

点数:20点から24点

順調です。あと一息

あなたの喘息は良好な状態(ウェルコントロール)ですが、完全な状態(トータルコントロール)ではありません。担当医師のアドバイスにより治療を継続し、トータルコントロールを目指しましょう。

点数:20点未満

まだまだです。もっとよくなるでしょう

あなたの喘息は、コントロールされていない状態です。あなたの喘息状態を改善するために、担当医師と治療方法をよく相談しましょう。

次回の病医院受診前にもう1度喘息コントロールテスト(ACT)を実施して、結果を担当医師に伝えてみましょう。

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喘息の症状がでないので、お薬を止めても良いですか?

自分の判断で
治療を中断しないで!

患者さんのなかには、症状が少し良くなると、自分の判断で治療を中断してしまう人がいます。
しかし、喘息は気道の炎症によって気道が狭くなる病気で、高血圧や糖尿病などと同様に慢性の病気です。
高血圧の患者さんが血圧を、糖尿病の患者さんが血糖値をコントロールするのと同じように、喘息の患者さんは気道の炎症をコントロールして抑える必要があります。そのため、基本的には治療を継続していかなければなりません。
喘息を上手にコントロールするためには、たとえ自覚症状がなくても継続して治療をすることが大切です。

喘息をきちんとコントロールすれば、健康な人と同じ生活を送れることが期待できます

喘息治療薬を毎日規則正しく使用してきちんとコントロールすれば、喘息の症状や喘息に対する不安もなく、健康な人と変わらないイキイキした毎日を過ごすことが期待できます。

咳がでなくなって、仕事に集中できるようになった

咳がでなくなって、
仕事に集中できるようになった

ぐっすり眠れるようになったので、昼間に眠くなることがなくなった

ぐっすり眠れるようになったので、
昼間に眠くなることがなくなった

季節の変わり目に、喘息症状がひどくならなくなった

季節の変わり目に、
喘息症状がひどくならなくなった

喘息増悪を予防するための日常生活のポイントを教えて

生活の中で注意すべきポイントをよく理解し、
ぜひ実行しましょう

喘息増悪を予防するために、生活の中で注意すべきポイントをよく理解し、実行しましょう。

生活の中で注意すべきポイント

長期管理

  • 長期管理薬は毎日忘れずに使用しましょう。
  • 薬を自分で勝手に止めたり、減らしたりしないようにしましょう。
  • 薬の効果と副作用についてよく理解しましょう。
長期管理

日常管理

  • 生活環境を整え、ダニ・ホコリ・カビなどの増悪の原因を減らしましょう。
  • かぜの誘因となる冷えや過労を避け、うがいや手洗いを励行しましょう。
  • 朝のうちは走ったり、急な運動をひかえましょう。
  • たばこは絶対にやめましょう。
  • ストレスを避け、気持ちを上手にコントロールし、明るく過ごしましょう。
日常管理

喘息増悪が起こったら、早めの対処が肝心です

喘息増悪がある方は、増悪の前ぶれを感じたり、ゼーゼーが出始めたら、すでに処方されている増悪(発作)治療薬を早めに吸入しましょう。決して苦しいのを我慢してはいけません。
喘息の増悪症状が起こったら、それがどのようなタイミング・場面で起こり、どのくらいの頻度で起こり、どのくらい続いたのか、またその症状でどういう支障があったのかなどを次回受診時に医師に伝えましょう。

主な喘息増悪の前ぶれ

  • のどがイガイガする
  • 咳が出る
  • 胸が圧迫される感じ
  • のどがヒューヒュー鳴る
  • たんが出る
  • 呼吸機能の低下(ピークフロー値の低下)
主な喘息増悪の前ぶれ

喘息増悪が激しくなった場合

増悪(発作)治療薬として医師に指示された回数の短時間作用性の気管支拡張薬を吸入するなどし、効果がみられないときは速やかに医師の治療を受けましょう。

喘息増悪が激しくなった場合
NP-JP-ASU-WCNT-230003
改訂年月:2024年5月